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川合 真紀; 小林 泰彦; 平田 愛子*; 大野 豊; 渡辺 宏; 内宮 博文
Plant Biotechnology, 17(4), p.305 - 308, 2000/12
細胞が自ら死ぬ能力(プログラム細胞死)は多細胞生物が有する基本的な生命活動の一つである。植物においてもプログラムされた細胞死は形態形成、耐病性、環境ストレス抵抗性の獲得等に重要な役割を担っているが、詳細は知られていない。植物における研究の立ち遅れの原因としては、細胞死誘導システムの確立が未完成な点があげられる。本研究では、イオンビームが植物細胞に壊死(ネクローシス)とは異なった細胞死を誘引することを見いだし、これが動物のアポトーシスと類似であることを明らかにした。実験では滅菌したトウモロコシ種子を寒天培地上に播種し、3日目に20Ne8+(350MeV)を照射した。アポトーシスのマーカーとされる核DNAの断片化を検出するため、照射2日目の植物の根から全DNAを抽出した。すると、非照射サンプルから抽出したDNAは高分子量体として検出されるが、照射体では約180塩基対を単位とする梯子状の泳動像が得られた。また、電子顕微鏡を用いた観察により、照射細胞では著しいクロマチン凝縮に加え、細胞質構造の崩壊、細胞の収縮などのアポトーシスの指標とされる形態変化が観察された。本研究によって開発された細胞死誘発システムを利用することにより、植物のアポトーシスの機構解明が大きく前進することが期待できる。
川合 真紀; 小林 泰彦; 大野 豊; 渡辺 宏; 内宮 博文
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, P. 56, 1999/10
細胞が自ら死ぬ能力(プログラム細胞死)は多細胞生物が有する基本的な生命活動の一つである。中でもアポトーシスと称される細胞死現象は、近年、特に注目され盛んに研究が行われている。放射線によって引き起こされるDNAの損傷に対して、細胞は自己修復機構を活性化させるが、修復不可能な傷に対しては自殺機構を起動する。これらは厳密に制御されたシグナル伝達系を介しており、障害による受動的な死とは区別される。植物においてもプログラムされた細胞死は形態形成等に重要な役割を担っているが、詳細は知られていない。今回、われわれはイオンビームを植物細胞に照射することによって、動物のアポトーシスと類似の形態的変化を伴う細胞死が誘引されることを見いだした。人為的に細胞死を誘発するシステムを確立することによって、植物のアポトーシスの機構解明への大きな足がかりになると考えられる。
渡辺 宏; 伊藤 均; 柴部 禎巳; 飯塚 廣*
日本農芸化学会誌, 45(2), p.55 - 61, 1971/00
被引用回数:0穀類の微生物障害防除を目的とした線照射に関する基礎的研究として,前々報および前報においては,内外産米について,とくにミクロフローラを中心とした研究を行ない,線照射が有効な手段であることを明らかにした,そこで今回はトウモロコシとマイロについて行なった結果を報告する.トウモロコシとマイロを対象とした理由は両者が輸入穀物の約80%をしめ,工業原料としても重要であるが,とくに飼料原料として年間400万トン(昭和43年)以上輸入され,なお年間10%ずつ増加していることと,また輸入の2/3は米国に依存しており,その流通形式からも微生物障害に注目する必要があると考えたからである.
渡辺 宏; 伊藤 均; 柴部 禎巳; 飯塚 廣*
日本農芸化学会誌, 45(11), p.500 - 506, 1971/00
被引用回数:0日本における配合飼料原料あるいは澱粉質原料としての穀類の需要は,年々その増加の一途をたどっている.しかし,それらの大部分を輸入に頼っているため,海上輸送および陸上げ後の流通過程における変質は,多湿の環境条件とともに,さらに著しいものとなっている.ことにその変質の原因としての徹生物の役割については,著者の1人,飯塚は,麩,米糠,トウモロコシ,大豆粕などについて指摘しに微生物障害とその鑑定方法について調査研究した.
渡辺 宏; 伊藤 均; 柴部 禎巳; 飯塚 広*
食品照射, 5(1), p.54 - 60, 1970/00
飼料の主原料として輸入されているトウモロコシとマイロについて,その微生物障害による穀類の品質劣化を防除するための手段として放射線照射を考え.前報においてはトウモロコシとマイロについての殺菌線量を決定した。そこで今回はその殺菌線量にもとづいて照射されたトウモロコシとマイロの貯蔵試験を行ない,貯蔵中の穀類の変敗に大きな影響を及ぼす水分含量と貯蔵温度を調節したトウモロコシとマイロについて,線照射による短期および長期の貯蔵効果をしらべた。その結果,水分含量および貯蔵温度と線照射との間における有効な貯蔵条件についての知見を得たのでここに報告する。